平成30年介護報酬改定審議報告 今後の課題

IV 今後の課題

○ 平成 30 年度介護報酬改定の基本的考え方や各サービスの報酬・基準の見直しの方向 については以上のとおりであり、今回の報酬改定に基づき、団塊の世代が皆 75 歳以上とな っている 2025 年に向けて、国民一人一人が状態に応じた適切なサービスを受けられるよう、 着実に対応していくことが求められる。

○ その上で、今回の介護報酬改定の影響を把握するとともに、次期介護報酬改定に向けて、 見直すべき事項がないか、検討を進めるべきである。

特に、次期介護報酬改定までに検討を進めるべきと考えられる事項について、以下のと おりまとめたので、厚生労働省において着実に対応することを求めたい。

なお、検討に当たっては、介護保険法の目的である要介護者等の尊厳の保持や、その 有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるようにするという視点に基づいて検 討が進められるべきである。

また、しっかりとしたデータに基づく検討を行うことが必要であり、介護報酬改定の効果検 証及び調査研究、介護事業経営実態調査の更なる精緻化を進めるとともに、各種の調査・ 研究等を通じて、実態をしっかりと把握することが必要である。

・ 訪問介護については、生活援助中心型の担い手の拡大や、統計的に見て通常のケア プランよりかけ離れた回数の生活援助への対応、同一建物等居住者へのサービス提供 に係る報酬の見直しなどについて、今回の見直しが、

1 要介護者の生活や人材確保、介護職員の働き方にどのような影響を与えたのか、
2 サービスの質が維持されているか、
3 サービスを必要とする方に必要なサービスが適切に提供されているか、
4 地域ケア会議等におけるケアプランの検証の実態がどのようになっているか、
5 有料老人ホームなどの集合住宅へのサービス提供に係る効率性がどのようになって

いるか などを検証し、また、定期巡回・随時対応型訪問介護看護の同一建物等居住者へのサ ービス提供に係る報酬の見直しについても、その実態を把握し、それらの結果を踏まえ て、利用者がより良いサービスをより効率的に受けられるようにするという観点から、見直 すべき点がないかを検討するべきである。

・ ケアマネジメントの公正中立性の確保については、今回は、契約時の説明事項の追加 や、特定事業所集中減算の見直しを行ったが、これらに加えて、公正中立性を確保する ための取組として、どのような方法が考えられるのか、引き続き検討していくべきである。 また、ケアマネジメントの適正化や質の向上をより進めていくためには、これらを判断するための指標が必要であり、そのような指標のあり方についても検討するべきである。

・ 今回の介護報酬改定で基準等を設定する共生型サービスについて、その実施状況を 把握するとともに、地域共生社会の実現の観点から、共生型サービスを含む介護サービ ス事業所が、利用者が社会に参加・貢献する取組を後押しするための方策について、運 営基準やその評価のあり方等を含め、引き続き検討していくべきである。

・ 介護サービスの質の評価・自立支援に向けた事業者へのインセンティブについては、今 回の改定に伴い、クリームスキミングにより利用者のサービス利用に支障が出るなどの弊 害が生じていないかなどについて検証を進めるほか、2020 年度の本格運用開始を目指 すこととされているデータベースの構築により、介護の取組とそのアウトカムの関連の分析 等を加速し、さらなるエビデンスを集積して、科学的な効果が裏付けられた介護サービス について、介護報酬上の評価を検討するべきである。

・ 自立支援・重度化防止に資する観点から導入・見直しされた外部のリハビリテーション専 門職等との連携について、実施状況を把握するとともに、その効果を検証するべきであ る。

・ 介護人材の確保については、介護ロボットの幅広い活用に向けて、安全性の確保や介 護職員の負担軽減・効率的な配置の観点も含めた効果実証や効果的な活用方法の検 討を進めるべきである。
また、AIやICTなど最新技術については、介護人材の確保のみならず、介護サービス の質の向上にも資する可能性があるものであり、これらの技術を用いたサービスの安全 性や質の確保の検証を前提に、その効果的な活用について検討を行うべきである。
このほか、はり師、きゅう師が新たに機能訓練指導員の対象となることについては、機 能訓練の質が維持されるか、また障害者の雇用等に悪影響が生じないかについて検証 するべきである。
また、定期巡回・随時対応型訪問介護看護のオペレーターの兼務など、各種の人員・ 設備基準の緩和については、サービスの質が維持されているのかなどについて検証する べきである。
これに加え、対象職員や対象費用の範囲を含め、介護職員処遇改善加算の在り方に ついては、平成29年度介護従事者処遇状況等調査により平成29 年度介護報酬改定 で措置した月額1万円相当による実際の賃金改善効果を適切に把握した上で、介護人 材の状況、介護人材と他職種・他産業との賃金の比較や例外的かつ経過的な取扱いと の位置付けなどを踏まえつつ、引き続き検討していくべきである。

・訪問介護のサービス提供責任者の任用要件や居宅介護支援事業所の管理者要件の 見直しについては、人材確保の状況について検証するべきである。
また、多職種協働によるサービス提供をマネジメントできる人材の育成と確保や、介護 人材の有効活用・機能分化、キャリアアップをより推進していく観点から、運営基準や介 護報酬上どのような対応が考えられるのか、検討していくべきである。

・新たに創設される介護医療院については、サービス提供の実態や介護療養型医療施 設、医療療養病床からの転換状況を把握した上で、円滑な転換の促進と介護保険財政 に与える影響の両面から、どのような対応を図ることが適当なのかを検討するべきであ る。

・介護保険施設のリスクマネジメントについては、今回は、身体的拘束等への対応を充実 させたが、今後、リスクを関知するセンサー等の導入が進むことも考えられることから、施 設でどのようなリスクが発生しており、そのリスクにどのように対応しているのかなど、その 実態を把握した上で、介護事故予防ガイドライン等も参考に、運営基準や介護報酬上ど のような対応を図ることが適当なのかを検討するべきである。

・基準費用額については、今回は見直しを行わなかったが、介護事業経営実態調査で実 態を把握した上で、消費税率の引上げへの対応も含め、どのような対応を図ることが適 当なのかを検討するべきである。また、 地域区分についても、介護事業経営実態調査 で実態を把握した上で、どのような対応を図ることが適当なのかを引き続き検討していく べきである。

・地域包括ケアシステムの推進については、今回の介護報酬改定で様々な対応を図った ところであるが、その実施状況をしっかりと把握するとともに、医療と介護の役割分担と連 携、住宅施策など他の関連施策との連携、高齢者の居場所の確保や引きこもり予防など も含めた健康寿命延伸のための取組、今後増えていくことが見込まれる認知症の人への 対応のあり方を含め、都市部や中山間地域等のいかんにかかわらず、本人の希望する 場所で、その状態に応じたサービスを受けることができるようにする観点から、どのような 対応を図ることが適当なのか、引き続き検討していくべきである。

・介護サービスの適正化や重点化については、介護保険制度の安定性・持続可能性を 高める観点から、サービス提供の実態や利用者に与える影響などを十分に踏まえながら、 きめ細かく対応していくことを、引き続き検討していくべきである。

また、今回の介護報酬改定で各種の加算が設けられることとなるが、利用者のわかり やすさという観点や介護サービス事業所の事務負担軽減の観点から、報酬体系の簡素 化について、引き続き検討していくべきである。