間違えだらけのマニュアル作成

見る気が起きないマニュアルが標準になっている

よく介護施設でみるマニュアルは、

  • ワード(エクセル?)で作成された文字ばかりのものや、
  • 教本や雑誌をコピーしたもの

を分厚いファイルで閉じたものです。

 

こんなマニュアルを一体誰が見たいと思うのでしょうか?
とりあえず、必要そうだからということで、作り手発想で作っていませんか?
もしくはリスク回避で「なんでも載せてしまえ!」になっていませんか?

これでは教育に活きるはずも、何かあったときに確認するものにもなっていないはずです。

 

使う環境に合わせて作ればいい

マニュアルが分厚いファイルに閉じられて
事務所のスチールロッカーに封印をされている根本の理由は

「マニュアルはとりあえず用意しておけばいい」

という気持ちで作っているからです。

 

最初から、教育や質の向上のためにマニュアルを作成するのであれば
まとめ方は大きく変わります。

例えば

  • 手の洗い方はポスターのように印刷をして、洗面台に掲示すればいいです。
  • 車椅子の広げ方は車椅子置き場にラミネートかファイルに入ったものを吊る下げておけばいいです。
  • 介護技術のマニュアルであれば、技術ごとに冊子にしてステーションに置いたり、最近であれば動画でまとめて夜勤中などで手持ちのスマホで見れるように作ることもできます。

このようにちょっとした時に手がとどくようにすることで、マニュアルの活用具合は大きく変わってくるのです!

 

効果的な役割を知ることで時間の有効活用ができる

マニュアルが大切なことはわかったけど、そんな時間がないという方もいらっしゃると思います。

しかし多くの施設でマニュアル検討委員会や特命でマニュアル作成を求められる人もいます。

その多くが過去のやり方を踏襲しています。
そういう方こそ「マニュアル」との向き合い方を考え直して見ると
施設での人の成長が大きく変わるきっかけとなります。

どうせ時間をかけてやるならば効果的なものを作成した方が
圧倒的に生産性が高い充実した時間を過ごすことができます。

 

マニュアルを
「どのように活かすのか?」
を考え、その上で最適な作り方をぜひ見つけていただきたいです。

 

マニュアルの技術は認められたもの?

マニュアルをきちんと作ろうという段階になると、必ず浮かんでくる問題が、
誰の技術を載せるかというものです。

そもそも現在のマニュアルに載っている技術は、法人として認めた標準のやり方でしょうか?

よく介護施設で耳にするセリフの一つに
「介護福祉士の資格を持っていても新卒は使えない」
というものがあります。

上記のセリフに加えて国家資格として介護福祉士でも実務経験により実務試験が免除されたりします。

つまり、これ!という標準が定められていないのが介護技術の特徴です。

 

その結果、多くの施設で人によってやり方が違う、
さらに指導の段階で人によって言うことが違い、叱られると言う悲劇にも繋がっています。

 

そこでマニュアルを作る過程は法人としての標準を定める良い機会となるのです。

 

一つ一つの技術を法人内のエース3〜4名に集まってもらい、実践してもらい、いいとこ取りをしたものを法人の標準技術として定めます。

そして標準として決まったものを法人として、人事考課を通じて唯一認めるものとすることで、統一を測ることが出来るのです。

 

標準があるから応用がきく

このようなマニュアルを作成し、誰かの技術を標準にしようという話になるよく現場で聞こえる声として、

「状態によってケアは様々なだから標準など作れない」

と言う声が上がります。

 

この声は半分正解で、半分間違いです。

 

状態によってはケアを変えなければならないのは、その通りです。

しかし、だからこそ標準を作らなければならないのです。

全ての状態に対して、教え込むことは不可能ですし、新たな状態の方が出てきたらそもそも対応ができません。

 

しかし標準がしっかりと決まっていれば、あとは状態がこうだからこうするんだと理解も早くなりますし、新たな状態の方が現れた際には、自身の頭を使って考えることもできます。

これはどんな仕事でも同じです。
パソコン作業であっても、医療であっても変わりません。

まずは標準・基本があってこそ、その後の技術の進化や応用が効くようになるのです。

 

マニュアルは初心者を初級者へあげるもの

実際にマニュアルを作る際に、一番初めに考えて欲しい「前提」があります。

 

あなたの施設のマニュアルは

「どんな方(対象)にどうなって(短期ゴール)欲しい」

という設計になっていますか?

 

ほとんどの法人においては、とりあえず求められるから作っておこうという姿勢で、
「設計」という考え方は見受けられません。

 

ぜひ考えて欲しい、最初に用意すべきマニュアルの基本は

「初心者が業務につけるようにするための手引書」

です。

 

決して、

「初心者を上級者へ引き上げるもの」

ではないですし、そんなものは存在しません。

 

仮にあるとしても
初級者を中級者へ、中級者を上級者へ引き上げることをサポートする手引書があるくらいです。

誰にどうなって欲しいのかをまずは明確に決めることから決めてください。

 

そして多くの介護事業者にとって必要なのは、
「初心者を初級者へ引き上げる」
マニュアルです。

 

マニュアルは新人の教本になる

今が使えないマニュアルであるならば、
作り直すことは新人の教育を整えることに効果を発揮します。

ここでは詳しくはお伝えしませんが、介護業界にとても多い、入職したらOJTと言われすぐに現場に出されるという名ばかりの研修があります。

これはとても効果が薄くかえって現場が忙しくなり人手が足りなくなる原因にもなっています。そこで最低2−3時間でもいいからOff-JTで基本を教えてからOJTに移すと効果が全く変わるので進めています。

このOff-JTの時にこのマニュアルが教本として活躍し、その新人さんが困った時に先輩に聞かなくても確認ができるものがあることが心の安寧に繋がるのです。

わざわざ教本を作るのは大変ですが、マニュアルであれば一発ですみます。

だから使えるマニュアルを作ることは、その後の新人教育の場面でも効いてくるのです。

 

人が不足していく今だからこそ、改めてマニュアルに目を向け、

施設の現状や未来に即したマニュアルの見直しに取り組んでいただければと思います。

 

株式会社ビジテラス

介護経営コンサルタント 本田新也